6/30/2012

6月に読んだ本

今月の感想から読書メーターについているまとめ機能を使ってみます。

13階段 (講談社文庫)13階段 (講談社文庫)
この国の死刑制度に関わる、死刑囚、刑務官、被害者、加害者家族、法の曖昧さ、保護監察官を真っ向から描きつつもドラマとしても読み応えのある作品。タイトルや表紙絵の暗さから容易に想像できる重い内容で、手に取るのを躊躇してしまうが、高野さんの巧みなプロットで読み始めると息つく暇もなく先へ進んでいける。一人でも多くの人に読んでもらい、人が人を裁く死刑制度への意見をそれぞれが持つべきだと思う。
読了日:06月30日 著者:高野 和明


天地明察天地明察
天体の観測と、算術を合わせて既存のずれてしまった暦とは違う暦作りに挑戦するという壮大な計画の面白さで一気に読めた。晴海22歳から時間にして23年。その間出会う伊藤先生、建部先生という好奇心にあふれた同僚、スポンサーにも恵まれたなあ。ひっぱったわりに関さんの活躍は思ったより地味でした。ところで、当時の日蝕を観察する際には一体どうやって太陽を見たんだろう?ガラスに煤をつけたものなのか、当時の特殊な和紙などを通してなのか、はたまた肉眼?気になります。
読了日:06月28日 著者:冲方 丁


卒業 (新潮文庫)卒業 (新潮文庫)
「まゆみのマーチ」で学校に行けなくなったまゆみを母が焦らせることなく毎日行けるところまで一緒に歩いていく。替え歌にしてまゆみが好き、好きと歌ってくれる母。一生分の「好き」を惜しみなく注ぐ親の愛情に涙がでた。
読了日:06月27日 著者:重松 清


解夏 (幻冬舎文庫)解夏 (幻冬舎文庫)
表題作の解夏を含む4編の家族をテーマにした物語。長崎市内の様子が手に取るように分かる解夏はさださんの故郷への愛を感じる。解夏が結夏と対になる仏教の教えの一つだと知れたのは良かった。 ダム建設のため沈んだ故郷が、渇水で浮かび上がる「水底の村」が一番好きだ。純平くん、小学生なのにしっかりしているなあ。全編を通して、重松清作品のようなあたたかさを感じる。
読了日:06月26日 著者:さだ まさし


鈴木先生(3) (アクションコミックス)鈴木先生(3) (アクションコミックス)
読了日:06月26日 著者:武富 健治
鈴木先生 2 (アクションコミックス)鈴木先生 2 (アクションコミックス)
読了日:06月26日 著者:武富 健治
鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)
ドラマをきっかけにコミックスも購入。@教育的指導では鈴木先生の指導に感心。内容がこんなに現実的で深い、先生が主人公の学園物は初めてだ。ただ、ホラーになりがちな絵のタッチがどうしても好きになれない。うーん、もったいないなあ。
読了日:06月26日 著者:武富 健治


日本人の知らない日本語日本人の知らない日本語
日本が好きで日本語を勉強する学生がこんなにもいるんだと思うと嬉しい。読み進めると今まで気にもとめなかった疑問がどんどん出てくる。まさに日本語再発見!正しい、美しい日本語って難しい。特に敬語は巷でまかり通っている間違いが多すぎて、自分の敬語もこれであっているのかと、いまいち自信がもてない。
読了日:06月26日 著者:蛇蔵&海野凪子


日本人の知らない日本語3  祝! 卒業編日本人の知らない日本語3  祝! 卒業編
シリーズ第3弾、いよいよ語学学校の生徒達も卒業です。外をみると自分が良く分かる。他社の視点から見ると物事がさらに多面的に見える。軽く手に取れて、読めて、かつ日常で使っている日本語の驚きや発見がたくさんある。良いシリーズです。
読了日:06月26日 著者:蛇蔵,海野凪子


半パン・デイズ (講談社文庫)半パン・デイズ (講談社文庫)
東京から広島へ引っ越してきたヒロシの小学校生活6年間、まさに半パンの時期を描いた作品。重松さんは本当に人の心理の描写が上手いなあと感じるのは、子供時代にぼんやりと言語化して意識することなく通ってきた道をちゃんと言葉で示してくれるところ。最初は方言話せないから大丈夫かなって心配されていたヒロシが、毎年いろんなことを経験し、感じながらたくましく育っていくのが嬉しい。吉野君とのライバル関係も爽やかだ。
読了日:06月19日 著者:重松 清


きのう何食べた?(6) (モーニング KC)きのう何食べた?(6) (モーニング KC)
今回は小日向さんとジルベール・ワタルの存在がシロさんとケンジの関係を際立たせてくれる。買ってすぐはストーリーを追い、その後はレシピ本として使える一冊で何度でも美味しいシリーズ。
読了日:06月19日 著者:よしなが ふみ


金色の野辺に唄う金色の野辺に唄う
読了後真っ先に思い出したのは、スティーブ・ジョブズが亡くなる間際、"Oh,wow, oh wow.." と言っていたこと。彼は何を見ていたんだろうか?その死にゆく人の思いが松恵の目線をとおして語られる。1世紀近い長い人生、幸せなときだけではないが、最後はこうして穏やかに逝きたいな。
読了日:06月18日 著者:あさの あつこ


最後の家族最後の家族
引きこもりとDVと家族の再生の話。龍さんがこの小説を書いたのが2001年。根深い問題を取り上げて、かつ押し付けではない解決方法を提示して作品にまとめているのが彼らしい。4人家族それぞれの視点で同じ一日を4通り描く。相手を助けたいと思うことが助けにならず、結局、人間ひとりひとりが自立することが大切なのだ。
読了日:06月14日 著者:村上 龍


疾走 下 (角川文庫)疾走 下 (角川文庫)
「聖書の時代から、どうしてひとは物語を紡ぎつづけ、語りつづけるのか、 おまえたちは知っているか?  ひとは、同じあやまちを繰り返してしまうものだからーだ。」 シュウイチとシュウジと宮原兄弟、家族が壊れていく様子、人の弱さ、これらが動機(モティーフ)となりなんども繰り返し展開されていく様子はクラシック音楽のよう。終楽章で一筋の小さな光がさしたことが救いだった。
読了日:06月14日 著者:重松 清


疾走 上 (角川文庫)疾走 上 (角川文庫)
こんなにも簡単に家族は壊れてしまうのか? こんなにも人は弱いのか?綺麗事で片付けられない人間の本質が書かれている。ただ、それだけに読むのが辛く、苦しい。
読了日:06月14日 著者:重松 清


女は結婚すべきではない―選択の時代の新シングル感覚女は結婚すべきではない―選択の時代の新シングル感覚
気になるタイトルに惹かれて手にした本。とてもアメリカ的な本。 現在、選択肢は広がってきているが、「社会常識」に囚われて流されて結婚を選ぶ人もいる。そりゃそうだよね、自分の幸せは自分で決めるっていう強さがないと生きにくい時代だから。 しかしその「社会常識」も時代によって変わっていく物。結婚しないことを選択した人は未来には先駆者と呼ばれているかもしれない。
読了日:06月13日 著者:シンシア・S. スミス


トワイライト (文春文庫)トワイライト (文春文庫)
ニュータウン、大阪万博の太陽の塔、40歳になっているであろう僕達。きらきらと見えた未来は、何十年後かに自分たちがその場所にたったときにどのように見えるだろうか?タイムカプセルがつないだ2点はとても対照的でやるせない。登場人物がドラえもんのキャラクターのあだ名で出てくるのだが、分かりやすい反面ドラえもんの無駄遣い。グリコやトヨタの大人になった◯◯CMとは違い、現実の厳しさ、醜さには似合わないかなと。
読了日:06月09日 著者:重松 清


下町ロケット下町ロケット
日本を支える町工場のものづくりを熱く取り上げた作品。読了感がハンパなく良い。胸熱もの。池井戸さんの元銀行マンの経験が物語の登場会社、人物達に深みを与えている。銀行からの出向者、殿村は銀行マンの良心だよな。夢を追いかけることと、会社、生活の安定を成り立たせることは得てして相反するもの。個人ではない会社としてどれだけのリスクが取れるか。現実だったらドラマはないけど特許使用料で手を打つのが経営者として妥当だろうな~とおもいつつ、ロケットの打ち上げシーンは涙なしで読めなかった。
読了日:06月09日 著者:池井戸 潤


どんぐり姉妹どんぐり姉妹
交通事故で両親をなくしたどんとぐりの姉妹。性格も外見も対照的な二人だが一緒に暮らし、届く相談や愚痴、誰かに聞いてほしい話のメールに返信を返す仕事をしている。二人のバランスが良くて、思いあっていて、日々の生活があたたかい。
読了日:06月07日 著者:よしもと ばなな


重力ピエロ重力ピエロ
泉水と春は血が繋がっていない兄弟。なぜなら春は母親が強姦されてできた子だから。それを全部包んだ家族愛や兄弟愛がすごい。内容はヘビーだし、出てくる話題が遺伝子、芸術で色付けされていてとっつきにくいのだが最後に救いがあるのが良い。
読了日:06月07日 著者:伊坂 幸太郎


胃袋を買いに。 (文春文庫)胃袋を買いに。 (文春文庫)
あの名作「手袋を買いに」を彷彿とさせるタイトルで思わず手に取ってみた。シュールな世界観。
読了日:06月05日 著者:椎名 誠


ミーナの行進ミーナの行進
神戸の伯父の家で一年間母と離れて暮らすことになった朋子。中学生になったばかりの彼女にとってこのお屋敷とそこに暮らす裕福な家族はとても心踊る世界だっただろう。憧れの中にチラリと見えるちょっとしたほころびを知っていく度に朋子の成長が感じられる。
読了日:06月04日 著者:小川 洋子


The Art of Simple Food: Notes, Lessons, and Recipes from a Delicious RevolutionThe Art of Simple Food: Notes, Lessons, and Recipes from a Delicious Revolution
サンフランシスコ・ベイエリアでオーガニックの食材を用いた料理の先駆者といえばアリス・ウォーターズ。彼女のレッスン、レシピがまとまった本。タイトルのとおりシンプルで分かりやすい。ひとつ難を言えば多くの英語のレシピ本と同じように写真/イラストがほとんどないので仕上がりがイメージしにくいことか。
読了日:06月04日 著者:Alice Waters


三匹のおっさん三匹のおっさん
腕におぼえのあるキヨとシゲ、機械に強いノリの3人のおっさんが活躍する痛快なお話。ただし各話の題材はレイプ、詐欺、強盗、動物虐待とかなり現実的。年齢的におじいちゃんたちならこれらの事件に眉をひそめて新聞の社説的な「~しなければならない。」で済ませそうだが、3人が颯爽と解決してくれる。それぞれのキャラが立っているし、孫の祐希、娘の早苗の存在が世代のギャップを埋めてくれて読みやすい。
読了日:06月03日 著者:有川 浩



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