5月に読んだ本

マスカレード・ホテル
東野 圭吾

非日常の世界であるホテル、そこに犯罪予告。誰もが仮面をつけているこの場所での謎解きは楽しく読めた。警察もホテルも人が相手の仕事なのだなあ。

塩の街 (角川文庫)
有川 浩

塩化していく人間たち、人が消え町がなくなっていくという設定良いです。ワクワクします。自衛隊嫌いじゃないし、有川浩も好きな方。でもこの二つが合わさると苦手かも。

夜は短し歩けよ乙女
森見 登美彦

もしかして酔った状態で読まなきゃいけなかったかなあ。どうも文体が合わなかった。

悪人(上) (朝日文庫)
吉田 修一

舞台が福岡、長崎を中心としていて、その地方出身者としては是非読みたい作品だった。私が出会った悪人…それは誰であっても不思議ではない。登場人物誰しもが悪の部分を抱えている。その中で人を死にいたらしめた祐一が越えてはならない一線を越えてしまったのだろう。その後の光代との逃亡の末にとった行動は、見る人の視点によっていかようにもとれる。そのような余韻のあるラストが素晴らしい。

悪人(下) (朝日文庫)
吉田 修一

君たちに明日はない (新潮文庫)
垣根 涼介

リストラ請負人、村上信介。仕事とはいえ初対面にもかかわらず相手の奥深くに踏み込む、ほとんどのサラリーマンにとってのアイデンティティーを奪うに等しいリストラという仕事。消耗の激しそうな仕事なのにさらっとドライに感じるのは主人公の性格によるものだろう。後味もすっきり。








パレード (幻冬舎文庫)
吉田 修一

いつのまにか５人で住んでいるアパート。それぞれの住人の視点から描かれる話。普通の若者って何だろう？同じ時間と空間を共有しても結局人はみたい姿しか見ていないということか。唐突にやって来るラストにじわじわと怖さが残る。

きことわ
朝吹 真理子

ニュアンス小説、ふわふわしていてさっぱり頭に入らなかった。手にとったことを後悔した作品。

ワーカーズ・ダイジェスト
津村 記久子

ヒートアイランド (文春文庫)
垣根 涼介

非合法の金を奪われたヤクザ、奪ったプロの泥棒グループ、その金をさらに手に入れてしまったストリートギャング。3者のひねりのきいた攻防が面白い！ギャングものだしなあ、と読むのを躊躇していたがなんのなんの、むしろ頭脳戦。勢いにのって一気に読めてしまう作品。今後の展開にも期待できる。

Cの福音
楡 周平

商社の闇、薬物の中毒性、今となってはちょっと懐かしいニフティサーブ。 一気に読めるミステリー。

光の海 (文春文庫)
津村 節子

90年代前半に書かれた短編集。「婚約者」のなかで結婚式の数合わせ、保護者の代わりに娘の遠足の付き添いをする、交通事故加害者の代わりに毎日お見舞いに行くなどの人材派遣の仕事がこの頃から既にあったんだ、ふーんと思った。その他は淡々と読み進めた。

県庁の星
桂 望実

「県庁さん」こと野村聡、パート主任二宮泰子をはじめとして、てんでばらばらだったスーパーの従業員たちが、リストラ危機、消防、保健所検査に直面してチームとして変わっていく。特に二宮さんの人を回す能力が開花する場面が良い。「店を変えている、いや、人を変えている・・」

キケン
有川 浩


学祭でのラーメン模擬店。この高揚感がたまらない！「全力無意味、全力無謀、全力本気。一体あんな時代を人生の中でどれほど過ごせるだろう？」

神去なあなあ日常
三浦 しをん

しをんさん、取り上げる題材が思いも寄らないものばかりで毎作品知らなかった世界を見せてくれる。今作品は三重県の神去地区という林業で成り立っている町に、横浜の都会っ子、勇気が半ば強引にインターンとして送られてくる。野生児の代名詞のようなヨキや親方達に囲まれて少しずつたくましく育っていく様子が微笑ましい。「なあなあ」で良いよと言ってくれる心の余裕、こういう田舎あるんだな～、きっと。心の清涼剤となる１冊。

西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木 香歩


中学生まいが登校拒否になったときに、おばあちゃんと過ごした1ヶ月あまりの生活を描く。魔女修行という名の生活力にあふれた知恵は素敵なものばかり。シーツをラベンダー畑の上に干すってやってみたい。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
伊坂 幸太郎


読むとなるほどなタイトル。過去と現在を交互に読ませる構成が好き。留学生ドルジの日本語習得能力がうらやましい。

真昼なのに昏い部屋
江國 香織


さっぱりした文体に似つかわしくない、ゴヤの版画「お前は逃げられまい」の装丁。タイトルもそうだが、この相反する感じがこの作品のテーマ。行きはよいよい帰りは・・・の不倫。

チーム・バチスタの栄光

海堂 尊


よくできた医療ミステリー。映像化したくなるのが良く分かる。著者はこの本を通してAi（死亡時画像病理診断）の普及を願っているそう、可視化って大事だな。

終末のフール
伊坂 幸太郎

この世の終わりをどう受け止めるか？をテーマにした連作。8年前に小惑星の衝突が世界中に知らされ、人々の絶望、混乱の時期を過ぎ、残すところ3年。落ち着きを取りもどした仙台のニュータウンに住む住人達が主人公。終わりを意識しながらも日々の生活を営んでいく。諦めとは違う人間の強さを感じる。世の終わり、自分だったらどうするだろう？